大腸カメラ
(下部消化管内視鏡検査)
大腸カメラの検査方法
主に大腸の内腔を観察することで病変の有無などを調べる検査です。正式には、大腸内視鏡、あるいは下部消化管内視鏡と言います。細長いスコープの先端に小型CCDや照明が搭載されています。これを炭酸ガスを送気しながら肛門より挿入し、奥から小腸の一部・大腸の内腔を観察します。
日帰りポリープ切除も行います
大腸観察時に病変が疑われる組織があれば、生検を行います。ポリープを発見した場合は、1cm程度までのものであれば、検査中に切除することができます。大腸ポリープの多くは良性ですが、腫瘍性ポリープであればがん化する可能性があります。またがん化しないとされる非腫瘍性ポリープと区別することができないといった場合で、内視鏡による切除で問題ないという場合には切除の対象となります。検査と同時に行えるので、日帰りでの治療ということになります。
ポリープの形状や大きさにより、内視鏡的粘膜切除術(EMR)あるいは、コールドポリペクトミーを行います。いずれもスネア状(輪状ワイヤ)の器具で切除しますが、EMRの場合は電気による焼灼を加えて止血を強くします。切除後は、クリップによる止血を行う場合があります。直径10㎜以上のポリープは悪性の疑いがあるため、生検で組織検査を行った後に治療を検討します。
大腸がんは早期の発見と治療が肝心
大腸の病気で気をつけなければならないのは大腸がんです。厚生労働省が公表した「2022年の人口動態統計」によれば、主な部位別がん死亡数で男性は第2位、女性は第1位となっています。発症初期は、自覚症状が出にくいのですが、早期に発見し、治療することができれば、予後は良い疾患です。なお病状がある程度進行すると、便に血が混じる、便秘と下痢を繰り返す、便が細い、貧血などの症状がみられるようになります。
早期に大腸がんが発見される場合は、便潜血検査で陽性の結果に対する、精査として大腸カメラを受け、発見されることがほとんどです。大腸がんは、40歳を過ぎると罹患率が上昇するため、定期的な便潜血検査や大腸カメラの受診を勧めます。
このような症状の時は大腸カメラ検査を勧めます
- 便潜血検査で「陽性」と判定された
- 下痢や便秘をよく繰り返している
- 血便や下血の症状がみられる
- 血液検査の結果で貧血を指摘された
- 体重が急激に減少している
- お腹にハリを常に感じている
- 家族や親戚で大腸がんに罹患した方がいる
大腸カメラ検査を受けられるときは
大腸カメラによる検査を希望される場合は、まず診察を受けていただきます。必要に応じて、当院スタッフより、検査の注意点などを説明します。常用薬のある方は、事前に医師へお申し出ください。
検査前日の注意点
- 前日の夕食は19時までに終えるようにしてください。
- 食事内容は、おかゆ、うどん、白身魚など消化の良いメニューにします。食物繊維や種子の多い食品、高脂肪食は検査の2~3日前から控えます。
- 体調を整えるためにも早めに就寝してください。
検査当日の注意点
- 起床後は、検査が終了するまで絶食になります。
- 飲み物については、水やお茶であれば、制限はありません。
- 常用薬のある方は、事前に説明を受けた医師の指示に従ってください。
- 喫煙に関しては厳禁です。
- 鎮静薬を使用する場合は、ご自身の運転(車・バイク・自転車)による来院は控えてください。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)の流れ
検査時の大まかな流れは、以下の通りです。
1.下剤を飲む
大腸の中を何もないきれいな状態にするため腸管洗浄液を約2ℓ程度飲みます。時間をかけて、何回かに分けて飲むようにします。頻繁にトイレを利用するようになりますが、透明の液体状の便が出ると、腸の中は空っぽの状態となります。検査の準備が整ったら検査着に着替えます。
2.鎮静剤の投与
検査は、ご希望に応じて鎮静剤を注射して行います。検査中に適宜、追加投与を行います。これによって検査中は、ほぼ寝ている間に終わります。
3.内視鏡を挿入
検査台で左側を下にして横になります。この状態で肛門に内視鏡を挿入していきます。その際は炭酸ガスを送気するため、腹痛やお腹のハリは軽減されます。
4.腸内を観察
内視鏡で腸管内を観察し、病変が疑われる組織があれば一部を採取(生検)したり、発見したポリープをその場で切除することもあります。
5.検査終了
観察のみの場合は10~15分程度で検査は終了します(個人差あります)。生検やポリープ切除を行う場合は延長します。
検査後の注意点について
検査終了後は、以下の点にご注意ください。
- お腹にハリがあれば、うつ伏せで排ガスを促してください。
- 鎮静剤を使用した場合は、検査終了後、30分程度は院内でお休みいただきます。
- 飲食については、検査を終えてから1時間は空けてください。
- 検査当日の入浴は、シャワー程度にします。
- 生検やポリープ切除を行った場合は、激しい運動は控え、刺激物の食事や飲酒は2~3日は避けます。
- 検査後は少量ですが便に血が混じることがあります。